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日本でも「我田引鉄」という表現があるように、鉄道の新線・新駅を建設する際に、どのルートを通すかは、その地域の一大事であり、重大な政治決断を要することもある。
台北では台北市を囲む新北市方面へ放射状に伸びる都市鉄道の建設が進められていて、すでに淡水線、中和線、新店線、土城板橋線(板南線)、新荘線蘆洲支線などが開業しており、まもなく新北市三重区、新荘区を走る新荘線の本線区間(大橋頭~輔大)も正式開業する予定である。
新荘線は台北市の忠孝新生駅まで乗り入れているが、今年6月にはさらに古亭駅まで延伸され、中和線と一体化して直通運転が始まる。路線図で離れている中和線と新荘線・蘆洲支線が同じオレンジ色なのはこのためだ。
本来、新線開業で路線網が拡充していくことは喜ばしいことのはずだが、ところがこれが思わぬ波紋を呼んでいる。中和線はこれまで新北市中和区の南勢角駅から古亭駅を経て、新店線に乗り入れ、中正紀念堂駅からさらに淡水線に乗り入れ、台北駅を通って北投駅まで運行されてきた。だが、新荘線と直通運転すれば、古亭から忠孝新生方面に向きを変えて、台北駅に立ち寄らなくなるので不便になるというのだ。
さらに今年末には、信義線(中正紀念堂~象山)が開業し、淡水線と直通するようになるため、それに合わせて新店線は中正紀念堂駅から西門駅(小南門線と直通運転)へ向かうようになり、淡水線とは運行系統が分かれるので、新店線も台北駅へ立ち寄らなくなる。
台北駅は地下鉄、台鉄、高鉄、バスターミナルなどが集まる最も中枢のターミナル駅であるが、地下鉄のルート選定にあたっては、路線を「L」字型に組み合わせることによって、台北駅以外での乗り換えを促し、台北駅への過度な集中を避け、適度に分散させる考え方がある。
さらに新北市民が台北駅に寄らずに便利に高鉄や台鉄を利用できるよう、新北市の板橋駅を拠点に新荘線、板南線、中和線、新店線などの放射状路線をつなぐ環状線が建設中であり、これが完成すれば新店、中和、三重、新荘の各区から板橋駅が結ばれ、新北市民がわざわざ台北駅まで出なくても板橋駅のほうが便利になる。
また、現在同じ線路を走っている中和線、新店線、淡水線の運行系統が分かれたとしても、銀座線と丸ノ内線が同一ホームで乗り換えられる東京地下鉄の赤坂見附駅のように、中和線と新店線は古亭駅で、新店線と淡水線は中正紀念堂駅で、それぞれ同一ホーム乗り換えが可能であり、中和線と淡水線についても、新しく開業する東門駅で同一ホーム乗り換えできるように非常にうまく設計されているので、さほど不便にはならないと思われる。
これまで台北駅へ乗り換えなしで直接行くことができた中和、新店の住民の不満に対し、郝龍斌・台北市長は「まだ最終決定ではない」と乗客の利便性に考慮して、再検討の含みを残している。中和線、新店線の一部電車が台北駅にも直通する形になれば、それはそれで便利であるが、実現した場合は、行先系統が複雑化するので、乗り間違えという新たなクレームが増えそうだ。
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