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文・写真 片倉佳史
台北には気軽に訪れられる歴史的建造物が点在している。瀟洒な雰囲気をまとった洋風建築をはじめ、日本式の木造家屋や赤煉瓦建築など、多彩な建築様式を楽しめる。老建築に吹き込まれた新しい息吹を体感してみよう。

歴史建築を巡る楽しみ
前号に続いて台北市内の歴史建築を訪ねてみよう。現在、数多くの歴史建築が保存対象となっており、博物館や文物館として使用されているほか、カフェやレストランとして開放されているところも増えている。今や、台北観光に欠かせないスポットも少なくはない。
台北市は陳水扁市長の時代から歴史建築の保存を熱心に取り組んできた。2010年現在、すでに100カ所を超える古蹟が保存対象となっている。日本統治時代の建造物も多く、すでに竣工から半世紀以上の時間を経ている。中には明治時代に建てられたところもあり、建築好きならずとも惹かれるスポットが目白押しだ。
台北市の中心部には旧台湾総督府(現総統府)や旧台湾総督府博物館(現国立台湾博物館)、旧台湾総督府医院(現国立台湾大学医院旧館)などがあり、これらは台北のシンボルとして機能している。一般参観も可能で、ガイドブックなどでも頻繁に紹介されている。
しかし、こういったもののほかにも、かつての学校が美術館になった台北市當代藝術館や、市場だった建物を劇場として整備した西門紅楼などがある。今回はこれまであまり紹介されてこなかったスポットを中心に紹介してみたいと思う。

■堡塁珈琲
中山堂は日本統治時代に台北公会堂として建てられた大型建築である。その2階にあるコーヒーショップ「堡塁珈琲」はかつての貴賓控え室だった空間だ。壁面や天井など、全体に高貴な雰囲気が漂い、独特な雰囲気に包まれている。地中海料理を味わうことができるほか、屋外のテラス席もあって、好評を博している(延平南路98号中山堂2階)。
写真01、02
■国立台湾博物館土地銀行展示館
ここは日本統治時代に日本勧業銀行として建てられた建造物である。戦後は土地銀行として使用されていたが、現在は国立台湾博物館に移管され、展示館となっている。天井が高い館内には恐竜のオブジェが展示され、見あげるばかりの大きさに感嘆の声が上がっている。3階には建物についての展示もあり、小さな空間ではあるが、こちらも見逃せない。また、かつての金庫室も展示スペースとなっており、興味深い空間となっている(襄陽路25号)。 写真03
■王有記茶行
創業百年という茶行の老舗。茶葉の販売だけでなく、製茶作業も行なっている。館内には展示スペースがあり、台湾茶業の歴史を知ることができる。建物の2階はかつて茶工が作業にいそしんだ場所。現在は芸文空間として開放されている。1階で茶葉を購入し、2階でそれを淹れて楽しむことができる。毎週土曜日の午後には台湾伝統の古楽器の演奏も実施されている(重慶北路2段64巷26号)。 写真04、05
■紫籐廬
日本統治時代に建てられた官舎が茶芸館として使用されている。建坪数は120坪。庭に植えられた緑も南国情緒を醸し出している。茶芸館として利用されるようになったのは1981年から。建物は改修された部分が多く、完全に原型を留めているわけではないが、畳敷きの部屋も残り、日本的な雰囲気が漂っている(新生南路3段16巷1号)。 写真06
■二條通・緑島小夜曲
閑静な雰囲気に包まれた木造家屋。終戦までは日本人の住居だった場所で、戦後は国民党政府に接収され、警察関係の官舎となっていた。現在のオーナーは建築家である鍾永男氏。1階が喫茶店、2階が建築事務所として使用されている。一度は廃墟になりかけた建築物だが、今や、多くの人々がこの建物の雰囲気に触れようと集まっている(中山北路1段33巷1号)。 写真07、08
■満楽門
中山北路と長安西路の交差点に位置する瀟洒な洋館。ここは長らく雑貨屋だった建物で、1930年代の台湾で流行した商店建築のスタイル。正面にはバロック風の装飾を擁し、洒落た雰囲気を感じさせている。その歴史は日本統治時代にまで遡るが、閉店後は廃墟のようになっていた。その後、歴史建築の存在意義を考慮した現オーナーによって、念入りな修復工事が行なわれた。作業はあくまでも原型に忠実に進められ、梁などは往時のまま残っている。現在は歴史を伝える古蹟空間として多くの人々に愛されている(長安西路2号)。 写真09、10
■市長官邸藝文沙龍
喧噪の大都会の海に浮かんだ小さなオアシス。ここは戦前の台北州知事の公邸で、戦後は長らく台北市長の公邸となっていた。屋内は和洋折衷の造りで、家具はすべて舶来物で統一されていたという。敷地内に植えられた植物は亜熱帯性のものだけが選ばれ、木造家屋のたたずまいを際立たせている。現在は芸術サロンとなっている(徐州路46号)。 写真11
■台湾民俗北投文物館
台北の奥座敷、北投温泉にある日本建築。温泉街を見おろせる高台の文物館。終戦まで佳山旅館と呼ばれていた。建物が竣工したのは1925(大正14)年前後とされている。敷地は広く、800坪という広さを誇っていた。建物は純和風の木造2階建てで、旅館によく見られる書院造り。戦時中は陸軍士官倶楽部でもあった。和風建築特有の情緒が凝縮された空間で、ひときわ印象深い建物である(北投区幽雅路32号)。 写真12、13
 
 
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