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 台湾経済を支える産業の一つに観光業がある。この中には旅行業者、ホテル、テーマパーク、飲食店、お土産品店、観光客の増減がそのまま業績の成長に影響する。また航空、鉄道、観光バスやタクシーといった交通業界への影響力も大きい。台湾の政府は2011年の経済目標の一つに、外国人観光客650万人(延べ人数、以下同じ)を台湾に誘致することを挙げていた。しかし1~10月の実績が約481万9000万人で、目標達成はきわめて困難となった。このため交通部観光局では、目標を650万人から600万人に引き下げた。いわば「下方修正」したわけである。それでも、前年実績の556万人を上回っている。



内外で大規模な事故発生が主因

下方修正したのは、外国人観光客の伸びが当初の予測を下回ったためであるが、その主因は、内外で大規模な事故が発生したことにある。
同局の謝謂君・副局長によると、2011年1、2月に台湾を訪れた外国人観光客の数はそれぞれ40万人、45万人で前年同月をそれぞれ15%、17%上回った。このため、2011年通年での実績が目標の650万人を達成するのは確実視された。しかし思いがけず、3月から立て続けに、台湾の観光業界にとっては不利な影響をもたらす事故が発生した。
3月は日本で東日本大震災およびそれに伴う東京電力福島原発での放射能漏れ事故が、4月には台湾の著名な観光スポットである阿里山鉄道で列車の脱線転覆事故、5月には台湾で食品への可塑剤「DEHP(フタル酸ジ-2-エチレンヘキシル)」混入事件などが発生した。これらの事故はいずれも外国人観光客の減少につながった。5、6月の外国人観光客の数は、それぞれ前年同月を下回った。
観光局企画組の蔡明玲・組長によると、オーストラリアから台湾を訪れる観光客の場合、コース、日程の関係から1回のツアーで日本と台湾を訪れるケースが多いが、2011年は東日本大震災が発生した影響で日本観光を取り消したのに併せて、台湾観光についても取り消したため、台湾にとっては多くの観光客を失う結果となった。
また可塑剤混入事件については、香港、マカオ、シンガポールからの観光客減少を招いた。これらの観光客は台湾で台湾風にアレンジされた各種の中華料理を食べることを主な目的としており、事件発生後は台湾のすべての食品、レストランの料理に可塑剤が入っているという危機感が生まれ、台湾観光のキャンセルが相次いだ。
 観光局の謝副局長は、下半期に入ってから同局が海外各地で積極的に台湾観光の宣伝を進めたのが奏功し、7月から10月まで各月で外国人観光客の数が前年同月を上回った。特に8月は50万6800人が来台し、前年同月より14.6%増加した。10月は53万人を超えて2011年での第2位(トップは4月の55万人)。
 10月末までの実績を見る限り、2011年通年での650万人という目標達成はほぼ不可能となった。このため観光局では、これを600万人に下方修正した。この場合でも、11、12月でそれぞれ60万人の実績が必要であり、決して容易に達成できる数字ではない。
 東日本大震災は日本国内の各方面に深刻な影響を及ぼしたが、それが台湾の観光市場にも波及している。
 ところで、外国人観光客の増加が期待される要因として、観光客による台湾での消費活動がもたらす経済効果、つまり台湾における国際観光収入の成長がある。2011年は日本円、中国人民元が米ドルに対して急騰した影響で、日本人および中国人観光客の消費規模が拡大している。
 観光局によると、2010年における日本人観光客1人当たりの、1日当たりの消費額は300~310米ドルだった。2011年は過去最高の350米ドルに跳ね上がるとみられる。同局の関係者は、東日本大震災の発生後、日本人観光客は台湾での消費額が急増しているが、それは主に食事、高級ホテルの宿泊に充てられていると話している。
 これに対して中国人観光客の場合は、ショッピングが消費のメインとなっている。内容を見ると、以前は鳳梨酥(パイナップルケーキ)など台湾の名産品を購入する人が大半だったが、最近は購入する物品が多様化し、服飾品や貴金属といった装飾品のほか、粉ミルクや医薬品といった日常品まで含まれている。台湾の多くの小売店では、中国人観光客の消費規模拡大を歓迎している。

<2011年1~10月に台湾を訪れた外国人観光客の数>


時期2010年2011年成長率(%)
1月34.5940.0615.80
2月38.7145.3417.13
3月51.6551.820.33
4月50.6455.018.63
5月50.5847.04-7.00
6月47.0446.26-1.66
7月42.7746.568.86
8月44.2250.6814.61
9月41.9346.099.92
10月48.5953.049.16
合計450.72481.906.92

*単位:万人(延べ人数)


*資料:交通部観光局



日本の紅葉観賞ツアー、旅行会社の呼び掛けにも参加者集まらず
 日本の秋の紅葉は、台湾の旅行業者にとって重要な旅行商品の一つ。明るい日差しの下、山全体が燃えるように赤い紅葉の間に、黄色いイチョウが混じる光景は、台湾の観光客にも人気が高い。
もともと10月の中旬から11月にかけてが日本の紅葉シーズンだが、2011年は気候の関係で例年より遅い時期に紅葉シーズンが訪れたことから、12月に入っても紅葉観賞が可能で、このため台南のある旅行業者は「今からでもまだ間に合う」と、ツアー参加者の勧誘に力を入れた。
 だが、この業者によると、参加者はなかなか思うように集まらないのが現状。言うまでもなく、これは景気の変動と関係がある。台湾の電子業界では欧米市場の需要低下の影響でリストラ、あるいはそれを視野に入れた無給休暇を行う企業が増えている。このため観光旅行を楽しむ気持ちのゆとりがなくなってきている。
さらに長期化する円高の影響、日本の物価高も、台湾の消費者にとっては大きな問題。以前は3000台湾元を用意すれば1万円に交換できたのが、最近は4000台湾元を用意しなければならないほど日本円が上がった。これではいくら人気の高い日本観光ツアーでも、参加者が集まらないのは当然である。
2012年1月には総統・副総統選挙、および立法委員選挙が行われる。与野党のいずれが勝つにせよ、政権を運営する政治家には何より景気の回復が望まれる。好景気になれば、日本を訪れる人が増え、日本経済を刺激することになる。

<日本を訪れた台湾人・中国人の延べ人数>


台湾(万人)中国(万人)
2006121.481.2
2007128.194.2
2008131.0100.0
2009111.4100.6
2010137.8141.3



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