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 台北市の太平洋SOGO復興館にある「和食えん」の新業態として、1月11日から新北市のMegaCity大遠白板橋店に新店舗が誕生した。経営しているのは、飲食業の「BYO」(本社・東京都豊島区、社長・楊文慶)の台湾事業部(代表・齊藤進)。2006年12月に「和食えん」がオープンして以来、5年余りの時が過ぎていた。当然ながら、台湾進出当初からチェーン展開を模索してきただけに、そこに至るまでには、いかなる展開があったのだろうか?


業績は一時落ち込んだが徐々に上向く

 「和の食」を追求するBYOには、数多くの業態がある。日本国内48店舗で12業態という形態は、同業他社では類を見ないものだ。高級ファーストフードからお茶づけ屋、定食屋、うどん屋、惣菜屋などで、そのうちレストランは25店。
 台湾の「和食えん」は、そのうち和食モダンをコンセプトとした日本の「和食えん」を現地化したものである。BYOとしては、ニューヨークに次いで2番目の海外進出だ。楊文慶・社長は台湾系華僑で台湾留学経験もあり、市場調査も行い現地情勢に明るく、太平洋SOGO復興館出店に当たっては、それなりの自信を示していたが、現実は厳しかった。
客単価は昼520元、夜850元と高価格帯で、夜は1200元のコースからスタート。太平洋SOGO復興館の顧客である高所得者層と合致していた。それだけに、オープン直後の売り上げは上々だったが、3カ月目から業績は急に落ち込んだ。
「どうしてそうなったか、正直言って訳が分からなかったですね」と齊藤進・代表。ただ、当時、3日に1回は顧客から怒られていたという記憶があるというから、サービスが悪い、時間がかかり過ぎるなどの苦情が出ていたとのではないかと、想像しているという。


手作り感を前面に出す

そこで、打開策を講じた。「和食えん」のモットーは、「朝一番最初の仕事は、出汁をひくところから」。その言葉が象徴するように、料理はすべて店内の厨房で作る。その精神に立ち戻ったのである。
台湾でも調理場は日本人2人を含め、総勢12人という陣容。セントラキッチンを設けて、大量に料理を提供するという、チェーン展開するシステムとは別の行き方だ。食材は90%台湾産だが、丁寧に素材を生かして日本の味に作り上げ、良質の料理を提供している。
具体的には、和食えん得意の手作り感を前面に出す手法に切り替えた。定食に付く3つの小鉢を週代わりにし充実させたことだ。カボチャの煮つけ、筑前煮、お浸しといった、定番のものだが、出来合いのものでなく、必ず包丁を入れたものを出した。それが功を奏して、開店2年目から徐々に上向き始めた。
「(台湾なら)これぐらいでいいのではないかという、意識がどこかにあったのではないか」と、齊藤代表は振り返る。

ライト感覚に業態変更した板橋店

太平洋SOGO復興館の店舗は、中高年向きの落ち着いた雰囲気で高級なイメージを醸し出していて、「新宿の伊勢丹のよう」(齊藤代表)であるのに対して、板橋店は35歳から45歳までの働き盛りの世代を対象とした。
アルコールを嗜みながら、料理を楽しめる雰囲気にしたライト感覚の店舗である。日本酒は30銘柄余り。料理も焼いたり揚げたりするものを、数多くメニューに入れている。客単価も下げた。BGMも復興館はゆったりしたジャズで、新店舗は軽快なポップスだ。BYO得意の業態変更だ。
板橋店は昨年末、新オープンしたばかりの百貨店の11階に位置するが、建物の構造上、このフロアには他の店舗はなく単独という立地環境。それだけに、顧客が定着すれば、ワンランク上のブランドイメージを作ることができるが、認知度をいかに上げるのかが今後の課題だ。
復興館の店舗を上回る135坪の広さで、客席は180席。入り口付近は、カジュアルな客席の配置。しかし奥に行くに従って個室や座敷を配して高級感が増すような造りだ。なかでも特筆されるのは、オープンキッチン。復興店にもあるが、ここでは厨房の目の前のカウンター席から、料理を作る様子がひと目で分かるように作られており、臨場感を強調した。


安定的で地道な手堅い経営

 BYOのモットーは、一歩洗練されたものを提供すること。そして手堅い経営だ。チェーン展開に対する戦略も、出店数が多ければ多いほど良いという考え方ではない。安定的で地道な経営を行うのが、BYOの企業文化である。このため大量生産、画一化、効率化が伴う、いわゆる多店舗展開とは、一線を画している。台湾での3店目出店は決まっていないが、成熟した「和の食」を追求しているだけに、都市部での展開を視野に入れている。
 齊藤代表は1973年、埼玉県生まれ。27歳から2年半、東京で飲食店を共同経営していたが諸般の事情から閉店。31歳でかつてのアルバイト先のBYOに入社した。台湾進出の話が出た時、自ら手を上げた。「刺激にもなる」新天地として来たという。着任したのは、オープンのわずか3カ月前。当然ながら、日々ハードスケジュールとなり、「オープン当時のことは、ほとんど覚えていません」。無我夢中だったようだ。

時代によって変わる「日本の味」

 今、台湾では飲食業の進出が加速している。ラーメン店、居酒屋チェーンなどさまざま。中国での展開を見据えた動きもある。そこで台湾市場についての理解を深めるため、齊藤代表に連絡を取る同業他社の関係者も少なくない。「かつての自分を見ているようだ」と話す。
 「私自身も、かつて自分が知っていた味や、やり方が『本物』であるという思い込みがあったのですが、今では、時代によって変わっていくものだと考えています」と齊藤代表。台湾進出の際、ヒントになる貴重な意見だ。


「和食えん」SOGO復興館
台北市忠孝東路3段300号11階
予約電話:02-7745-0796

「和食えん」Megacity大遠白板橋店
新北市板橋区新站呂28号11階
予約千羽:02-2959―1196



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