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文 林雅行(映画監督)・写真 本多真子
上野駅からの御徒町駅間の横丁。終戦直後、多数のバラック店舗が軒を連ねた簡易マーケット(闇市)ができた。食糧難の時代で復員兵や庶民は飢え砂糖などは貴重品。1947年頃になるとサッカリンが砂糖に代わる甘味料として登場、それを原料としたアメ菓子が売り出されて大ヒット。周辺の店も次々と売り出し、その数は300軒にのぼった。その頃、「アメ屋横丁」と呼ばれた。

1950年以降には、朝鮮戦争の影響もあり駐留米軍からアメリカ物資が大量に流れ込み「アメリカ横丁」と呼ばれたという。そして通称「アメ横」になった。このアメ横の一角、ガード下のカジュアルな若者の服の店の間に2階に上る階段がある。ここが「台湾小菜 新東洋」。今から56年前の1955年に李成弘さんが開いた店だ。
台湾人の李さんは16歳で日本に来た。太平洋戦争が始まった翌年のことだ。29歳の時、この店を始めた。アメ横にできた飲食店の第1号だという。当時は1階が店で2階が住まいだった。李成弘さんの妻は日本人で李さんは今も元気だが、親戚の李杰さん(49歳)が店を仕切っている。
日本にきたのは16年前。中国東北部の瀋陽で生まれて、親戚のいた台湾で8年間、勉強し、再び瀋陽に戻って来日したという「お客さんはアメ横で商売をしている人や地元の人が多く、土日は買い物客も多い」と李さん。「林さんが最初に来たのは2人の男性と一緒でしたね。豆腐が好きでしょう。最初に来た時、麻婆豆腐を食べましたね。今日も豆腐を注文した」といわれてびっくり!

この日、私が沙拉豆腐というツナとザーサイのマヨネーズ和えを注文した時、李さんの口からでた言葉だ。「一度来たお客さんは忘れない」という。そして驚くのは、豊富なメニュー。一品料理の他に麺が30種類。汁ビーフンとあんかけ醤油味のローメンが人気。チャーハンも、6種類。エビチャーハンから、トマト、シラス、高菜、レタス、カレーとある。ランチタイムの10種類ある定食には、日替わり点心がつく。月水金が水餃、火が肉包、木が小龍包水餃、土日が台湾湯圓。
新東洋の入口のまわりは若者向けのアパレルショップ。店の中は落着きがある家庭的な雰囲気。窓から下をみるとゴッタ返すアメ横の人の波。上を通るJRの音がBGMのような56年の老舗、新東洋は、何度でも足を運びたくなる店だ。

新東洋 台湾小菜
住所:東京都台東区上野6-10-2 2F
電話番号:03-3831-8822
営業時間
11:30~16:00
17:30~23:00
年中無休
芝えびとえび子の炒め 900円
台湾香腸 500円
沙拉豆腐(ツナとザーサイのマヨネーズ和え) 700円
台湾の切り干し大根玉子焼き 600円

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